どびんちゃんのところに餌をもらいに来るこの白黒ハチワレのオス猫のことを、どびんちゃんは「いい男」と呼んでいました。
何年か前から現れるようになり、最初は変わった顔をした猫だと思っていたのですが、そのうち慣れて触らせてくるようになるとかわくなり、「いい男」と呼ぶようになりました。顔が丸くて、目がきらきらとしていて、写真で見てもいい男です。
なでると「ニャー」とうれしそうになきました。抱っこもさせてくれました。どこかで飼われていたのでしょう。
いい男は、最初バニラのことを威嚇していたのですが、大人しい犬だと分かると、何もしなくなりました。そのうち、わが家にやってくるほかの猫たちと同じように、バニラと鼻と鼻をくっつけて挨拶するようになりました。
いい男は家の中に入りたがり、玄関の戸を開けて入ってきて、台所の椅子の上にちゃっかり座っていました。バニラはいい男が入ってきたことに気づくとなぜか「クークー」となきました。そのたびにどびんちゃんはいい男を抱きあげて、外に出していました。いい男は、ずっと家の中にいたかったのでしょう。
今年、2022年の6月10日金曜日、朝、玄関を開けたら、いい男の亡骸がありました。すでに冷たくかたくなっていました。数日前から餌を食べなくなり、じっとしていることが多かったので、自分でも死ぬことを分かっていたのでしょう。
どびんちゃんの家の前で死んでいたとは、最期までうちの猫になりたかったのですね。かわいそうでした。飼ってあげたかったです。
庭に穴を掘って、いい男の亡骸を埋め、お線香をあげました。
市役所に電話して、引き取ってもらうこともできるのでしょうが、ゴミのように処理されてしまうのはつらすぎます。
バニラがいなくなった直後だったので、どびんちゃんにとってはショックな出来事でした。
人懐こくてかわいかった「いい男」のことを今でも思い出します。
2021年10月17日の写真
2022年5月5日の写真
このころから体調は悪化していました。感染症だったのかもしれません。
野良猫の運命は過酷です。