バニラが我が家に来たのは2019年12月28日の夜9時過ぎでした。
ボランティア団体の方の車に乗せられてやってきました。
これまでも白っぽい雌犬とばかり暮らしてきたどびんちゃんは、小柄でかわいいバニラを見て、前に飼っていたノーブルちゃんに似ているけど、ひとまわり小さいと思いました。
バニラはとてもお利口でした。大人しくて声を出さないので、声帯を切られているのかと心配になるほどでした。
すでに10歳を過ぎた老犬でしたが、お散歩が大好きで、楽しそうに軽やかな足取りで歩きました。
バニラとはずっと一緒にいました。1日2回は散歩に連れていき、それ以外にも外に行きたいとバニラがねだれば、何度も外に連れて行きました。
穏やかなバニラは我が家にやってくる野良猫たちとも仲良くなり、鼻をつけて挨拶していました。
バニラは居間や庭に面した日当たりのよい廊下でよく寝ていました。
いつもどびんちゃんの目に見えるところでくつろいでいました。
幸せな毎日でした。
バニラが前庭性疾患で倒れたのが5月24日の夜遅くでした。
突然立ち上がれなくなり、めずらしく鳴き声を上げ続けました。
どびんちゃんがバニラをなでたり声をかけたりしているうちに少し落ち着いてきました。
翌朝、ボランティアの人が車で迎えに来て、バニラは病院に連れて行ってもらいました。
その日がバニラを見た最後となりました。
バニラはもう戻ってきません。
どびんちゃんのような高齢者に、またいつか倒れるかわからない犬を預けるわけにはいいかないと、ボランティア団体から言われました。
バニラに何かあったら、車で病院に連れて行ってくれると言ってくれる人はいましたが、預かりボランティアは自分ですぐに犬を病院に連れていけないとダメだということでした。どびんちゃんに犬を飼う資格はないということなのでしょう。
バニラを失った悲しみは深く、心にぽっかりと穴が開いてしまいました。
毎日歩いたお散歩コースももう行くことはないでしょう。
シェルターに行けば会えるのでしょうが、バニラを置いて帰ってくることを思うと行く気になれません。
バニラはとてもかわいかった。
どびんちゃんの生き甲斐でした。
いつも思い出しています。